『検察側の罪人』感想(ネタバレあり)

2018.08.26 Sunday 17:34
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    ついに公開された『検察側の罪人』。

    骨太の重量級の作品で、原作よりもより考えさせられる内容になってます。

    あれこれ思うことが多すぎてちゃんとした感想が難しいので

    とりあえず思いつくままに書いてみようと思います。

     

    ※全編ネタバレです。未見の方は注意!

     

     

     

     

    【沖野VS松倉】

    まずはこれですよね。

    松倉の取り調べシーン。

    なんといってもシビれたのは沖野のあの激高ですが

    その前に、取調室に入って沙穂を気色悪く見ている松倉を制止するんですが、

    その時に呼ぶ「まつくら」の声と言い方がいいんです。

    とにかく自然なんですよね。

    その一言でまず思い切りシビれました。

    そしてあの怒声。

    激しく罵る言葉。

    怒りに歪む顔。

    沖野は怒りで我を忘れてる・・・ってわけじゃない。

    あくまでも松倉に自供させるための取り調べ方法。

    沖野としてはやりたくない方法であったわけですけど。

     

    そしてそれを演じた二宮さんは本当にすごかった。

    ただ吠えるだけじゃない、緩急をつけた追い込み方と

    そこまで言うかという人格否定バンバンの言葉に、見ているこちらは震えあがりました。

    (「いっそ首つってくれよ」とかもう・・・ほんとすごいわ)

     

    対する松倉演じる酒匂芳さんがとにかく気持ち悪くて素晴らしかった。

    ユキ殺しを自供しているときの、それを思い出して興奮しているような揺れ方とか

    うっとりするような目つきとか、声とか、

    とにかく不快極まりないあの演技、とんでもないです。

    「ママー!ママ―!」と泣きじゃくる50男。気持ち悪すぎる。

    その「ママ―!」は酒匂さんのアドリブとか。

    それを引き出したのは二宮さんの「オマエの母ちゃんにも同じこと言ってやるよ」というセリフですよね。

    それがもともとのセリフだったのか二宮さんのアドリブなのかわかりませんが

    あの応酬の中で出てきたものなわけですよね。

    あの取り調べシーンだけで、この作品にお金払う価値ありです。

     

     

     

    【諏訪部】

    この作品を見た中で一番印象に残ったセリフは

    「諏訪部はポチになります」。

    原作でも怪しげな人物だったけど、ここまでキーマンになるとは。

    きっと最初は捜査の情報を得たり便利に使ってるだけだったんだろうけど

    なんかもう、最上にとって唯一心を許せる存在になっちゃってますよね。

    それは原田監督が持ち込んできた「インパール」でより強い結びつきになってるんだけど

    最上にとって諏訪部はポチどころかドラえもんじゃないか。

     

    そんな諏訪部だから最上から沖野の検事としてのテストも任される。

    沖野と諏訪部の取り調べシーンもよかったなぁ。とても面白かった。

    まさに格闘技という感じで。

    二宮さんと松重さんのぶつかり合い、最高だった。

    できることならエア麻雀の件をもっとやってほしかったな。

     

     

     

    【沖野VS最上】

    ファーストシーンでひたすら憧れの眼差しで最上を見ていた沖野が

    最上の執務室でのあの表情。

    唐突に出てきた凶器についてストーリーを作り上げていく最上。

    沖野の言葉を上から押さえつけて何も言わせない。

    それはまさに犯罪に墜ちる検事の姿であり、パワハラそのものであり、

    まさにファーストシーンの最上の言葉がリフレインするシーンでしたよね。

    怒りともやるせなさともとれる表情で最上と決別する沖野の姿がツラかったなぁ。

    二宮さんのあの表情は胸が締め付けられます。

    また、沖野を抑え込んだようで実は攻め込まれ危なかった最上の表情がすごくよかった。

    二宮さんと木村くんの一騎打ち、見応えありました。

     

     

     

    【沙穂】

    今回この作品の原作を読んでキャスティングが一番気になっていたのが沙穂でした。

    橘沙穂役が吉高ちゃんで本当によかった。

    裏に何か抱えていそうな感じがすごく出てたと思います。

    なによりGANTZ以来のニノユリ。

    しかも今回は見事結ばれるというシーンまでありうれしいことこの上ない。

    沙穂からの突然のキスで狼狽える沖野が可愛かったなぁ(#^^#)

    その前のラブホの部屋であたふたしてるところも激カワだったんだけど。

    (というか、沖野くんまさかその歳でラブホに入ったことないとか?どんだけ純粋培養)

    沖野の大人の流儀、もっと見たかったな〜〜〜。

    でも二人の”事後”の構図はかなり刺激的でしたけどね(*^。^*)

     

     

    【丹野メモ】

    ラストシーンで最上が沖野に見せた丹野メモ。

    これが汚職について書かれてるものならスッキリ納得できるんだけどなぁ。

    最上は検事であって政治家じゃないよね。

    反戦を入れたいのはわかる。わかるんだけどね。

    どうにもそこにう〜んとなってしまったワタクシでした。

     

     

     

    あとは沖野と沙穂の焼鳥屋のシーンでの

    肩ごしの二宮さんがステキ〜♡とか

    小田島夫妻の沖野イジリにもっとやれとか(木馬に手錠って・笑)

    まだまだ見れば見るほど見どころが増えていく気がします。

     

     

    以上、まとまりのない感想でしたがとりあえず書けてよかった〜。

    映画を見た皆さんの感想もお待ちしてます\(^o^)/

     

     

     

     

    category:二宮和也 | by:うなcomments(4) | - | -
    Comment
     こんにちは!
     うなさんの感想、興味深く読ませていただきました。すぐにでも読みたかったのだけど、自分が1回観てからと思っていたので、今日になりました。

     1回観たところでの思いは、やはり1回では消化しきれないことがありすぎるということ。
     うなさんの書かれていたことや、パンフレットを読んでから、もう一度観に行こうと思ってます。

     「丹野メモ」のくだり。私はあれは反戦とか政治とかというよりは、法が正義に反する形で使われたときの恐ろしさ、そしてそれが最上に一線を超えさせる一因となっているということなのかなぁとか思いました。
     が、この映画でインパールのストーリーが交えられたことの意図がまだ私の中でしっくり来ていないので、もう少し考えてみたいと思ってます。

     みなさんより遅れて観に行って、とにかく誰かと語り合いたかったので、未消化のままで書き込みしてしまいました。
     うなさんの感想・パート2、楽しみにしています。


     

    • あんだんて
    • 2018/08/27 7:25 PM
    >あんだんてさん

    こんばんは。
    感想ありがとうございました。
    何しろ情報量が多いので1回だけじゃ消化しきれないですよね。
    「丹野メモ」については。何度考えてもやっぱりしっくりこないんです。
    あの場面での最上の言う「正義の剣」とは何のことなのか。
    丹野メモが汚職について書かれているものだったら
    若しくは丹野メモではなく松倉や弓岡についての秘密を語ったのだったら
    「俺の正義の剣を奪わないでくれ」のセリフもしっくりくるんですけどね。

    今週末、また観に行ければ行きたいんですけどね〜。
    感想パート2はまだわかりませんが、何か語りたくなっちゃうかな〜(#^^#)
    • うな
    • 2018/08/28 11:23 PM
     何度もすみません!まだ語りたい熱が収まらず、でも2回目を観に行くのはまだちょっと先になりそうだし、ただいま仕事もプライベートも色々あって現実逃避入ってしまってるもので (^^;

     「丹野メモ」、私は単純に丹野が義父の大物政治家や妻たちのやっている悪事(映画ではこの国を戦争に導こうとしているという漠然とした表現でしたが)に関わる証拠なのかなぁと考えていました。

     最上の「正義の剣」、たしかにキーワードですよね。この表現は裁判所などでモチーフとして使われることが多い正義の女神(テミスの女神)の剣に由来するんだと思うので、最上は検察官である自分だからこそできる「正義」を実現するための権力という意味だと理解しました。

     そこから現時点で私が考えたのは、最上が松倉が死に、松倉に関して自分がやった「一線を越えた」悪事を沖野にかなり気づかれていると自覚してもなおも検事の地位にとどまり続けたのは、丹野の遺志を継いで、丹野が暴こうとした義父らの悪事を検察官のもつ権力(「正義の剣」)で追及し、裁きたいからということなのかなぁと。だから、松倉にかかわる最上の罪を追及しようとする沖野に対して、ああいう発言をしたのかなぁと。

     「正義の剣という言葉から、インパール作戦が映画でモチーフに使われた意味というのもなんかつながる気がしてきました。
     インパール作戦は、権力をもった人間(軍の上層部)が机上の空論や精神論だけで組み立てた無謀きわまる作戦であり、そこにはなんの正義(大義)もなかった。そして最上や諏訪部の祖父たちはその作戦のせいで酷い目に遭わされた。そこから彼らは権力への反発や不信感を抱くようになり、諏訪部はわかりやすく裏の世界に入り、最上は正義と権力両方をもつ検察官をめざした。しかし、松倉の件では自らが持ちえた権力の限界を思い知らされ、丹野の件では今なお正義なき権力の前では丹野や最上レベルの力では何もできず、丹野は見せかけの正義の名の下で葬り去られた…

     うーん、だから?になってしまいました。
     私は日頃法にかかわる仕事をしているために、逆になんか余計な色眼鏡が入ってしまっている気がしてきました。
     
     1回目観に行ってから原作を読み始めていて、まだ全然進んでいないのだけど、この丹野メモのくだりとか、「俺の正義の剣を奪わないでくれ」は映画オリジナルなのでしょうか。だとすると、原作を読んでも解けないですね。
     いずれにしても、私もまたいったん無になって観に行きたいと思っています。

     長文失礼しました。テキトーに放置しておいてくださいませ←だったら、書き込みすんなよって話ですが <m(__)m>


    • あんだんて
    • 2018/08/29 6:37 PM
    >あんだんてさん

    こんにちは。
    ずっとお返事なしでゴメンなさい。
    このコメントのお返事はまた感想をアップするという形でさせてもらいますね。
    私もまだ色々モヤってますから〜(^^;)
    • うな
    • 2018/09/10 7:11 AM








       

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