『検察側の罪人』感想(ネタバレあり)
【沖野VS松倉】
まずはこれですよね。
松倉の取り調べシーン。
なんといってもシビれたのは沖野のあの激高ですが
その前に、取調室に入って沙穂を気色悪く見ている松倉を制止するんですが、
その時に呼ぶ「まつくら」の声と言い方がいいんです。
とにかく自然なんですよね。
その一言でまず思い切りシビれました。
そしてあの怒声。
激しく罵る言葉。
怒りに歪む顔。
沖野は怒りで我を忘れてる・・・ってわけじゃない。
あくまでも松倉に自供させるための取り調べ方法。
沖野としてはやりたくない方法であったわけですけど。
そしてそれを演じた二宮さんは本当にすごかった。
ただ吠えるだけじゃない、緩急をつけた追い込み方と
そこまで言うかという人格否定バンバンの言葉に、見ているこちらは震えあがりました。
(「いっそ首つってくれよ」とかもう・・・ほんとすごいわ)
対する松倉演じる酒匂芳さんがとにかく気持ち悪くて素晴らしかった。
ユキ殺しを自供しているときの、それを思い出して興奮しているような揺れ方とか
うっとりするような目つきとか、声とか、
とにかく不快極まりないあの演技、とんでもないです。
「ママー!ママ―!」と泣きじゃくる50男。気持ち悪すぎる。
その「ママ―!」は酒匂さんのアドリブとか。
それを引き出したのは二宮さんの「オマエの母ちゃんにも同じこと言ってやるよ」というセリフですよね。
それがもともとのセリフだったのか二宮さんのアドリブなのかわかりませんが
あの応酬の中で出てきたものなわけですよね。
あの取り調べシーンだけで、この作品にお金払う価値ありです。
【諏訪部】
この作品を見た中で一番印象に残ったセリフは
「諏訪部はポチになります」。
原作でも怪しげな人物だったけど、ここまでキーマンになるとは。
きっと最初は捜査の情報を得たり便利に使ってるだけだったんだろうけど
なんかもう、最上にとって唯一心を許せる存在になっちゃってますよね。
それは原田監督が持ち込んできた「インパール」でより強い結びつきになってるんだけど
最上にとって諏訪部はポチどころかドラえもんじゃないか。
そんな諏訪部だから最上から沖野の検事としてのテストも任される。
沖野と諏訪部の取り調べシーンもよかったなぁ。とても面白かった。
まさに格闘技という感じで。
二宮さんと松重さんのぶつかり合い、最高だった。
できることならエア麻雀の件をもっとやってほしかったな。
【沖野VS最上】
ファーストシーンでひたすら憧れの眼差しで最上を見ていた沖野が
最上の執務室でのあの表情。
唐突に出てきた凶器についてストーリーを作り上げていく最上。
沖野の言葉を上から押さえつけて何も言わせない。
それはまさに犯罪に墜ちる検事の姿であり、パワハラそのものであり、
まさにファーストシーンの最上の言葉がリフレインするシーンでしたよね。
怒りともやるせなさともとれる表情で最上と決別する沖野の姿がツラかったなぁ。
二宮さんのあの表情は胸が締め付けられます。
また、沖野を抑え込んだようで実は攻め込まれ危なかった最上の表情がすごくよかった。
二宮さんと木村くんの一騎打ち、見応えありました。
【沙穂】
今回この作品の原作を読んでキャスティングが一番気になっていたのが沙穂でした。
橘沙穂役が吉高ちゃんで本当によかった。
裏に何か抱えていそうな感じがすごく出てたと思います。
なによりGANTZ以来のニノユリ。
しかも今回は見事結ばれるというシーンまでありうれしいことこの上ない。
沙穂からの突然のキスで狼狽える沖野が可愛かったなぁ(#^^#)
その前のラブホの部屋であたふたしてるところも激カワだったんだけど。
(というか、沖野くんまさかその歳でラブホに入ったことないとか?どんだけ純粋培養)
沖野の大人の流儀、もっと見たかったな〜〜〜。
でも二人の”事後”の構図はかなり刺激的でしたけどね(*^。^*)
【丹野メモ】
ラストシーンで最上が沖野に見せた丹野メモ。
これが汚職について書かれてるものならスッキリ納得できるんだけどなぁ。
最上は検事であって政治家じゃないよね。
反戦を入れたいのはわかる。わかるんだけどね。
どうにもそこにう〜んとなってしまったワタクシでした。
あとは沖野と沙穂の焼鳥屋のシーンでの
肩ごしの二宮さんがステキ〜♡とか
小田島夫妻の沖野イジリにもっとやれとか(木馬に手錠って・笑)
まだまだ見れば見るほど見どころが増えていく気がします。
以上、まとまりのない感想でしたがとりあえず書けてよかった〜。
映画を見た皆さんの感想もお待ちしてます\(^o^)/
うなさんの感想、興味深く読ませていただきました。すぐにでも読みたかったのだけど、自分が1回観てからと思っていたので、今日になりました。
1回観たところでの思いは、やはり1回では消化しきれないことがありすぎるということ。
うなさんの書かれていたことや、パンフレットを読んでから、もう一度観に行こうと思ってます。
「丹野メモ」のくだり。私はあれは反戦とか政治とかというよりは、法が正義に反する形で使われたときの恐ろしさ、そしてそれが最上に一線を超えさせる一因となっているということなのかなぁとか思いました。
が、この映画でインパールのストーリーが交えられたことの意図がまだ私の中でしっくり来ていないので、もう少し考えてみたいと思ってます。
みなさんより遅れて観に行って、とにかく誰かと語り合いたかったので、未消化のままで書き込みしてしまいました。
うなさんの感想・パート2、楽しみにしています。